Jul 31, 2019 · オリンピックの競技をイラストで表現したスポーツピクトグラムは、1964年の東京オリンピックではじめて導入されました。. そんなピクトグラムが生み出されたのは1964年の東京オリンピック。 当時日本は戦後の復興が進み、高度経済成長の真っただ中。 世界中のトップアスリートが一堂に集うオリンピックは戦後の新しい日本を世界にアピールする大きなチャンスになるぞ!とお偉いさんたちは気合が入っておりました。 しかし、文化の違う外国の人たちをどうやって「おもてなし」するか、お偉いさんたちを悩ませました。 何かいい方法がないか… そして…言語に関係なく誰でも理解できるピクトグラムが生み出されたのでした。 Jul 31, 2019 · オリンピックエンブレムと同じく、ブーメラン風のシルエットで手足を描いたスポーツピクトグラム。 意識せずともこのマークがあったらここがトイレだとすぐに判断できますよね。 もし、私が外国で急に腹痛に襲われたとき、トイレにこのマークがなくてヒンディー語で「शौचालय」と書かれているだけだったら、きっとトイレだと気付かず通り過ぎて今ごろは…。 考えるだけで恐ろしい…。日本発祥のトイレマークの偉大さがわかります…。 そんなトイレマークについて面白い話が残っています。トイレマークが導入された当初、表示は白黒でした。しかし、「男性もスカートを履く国がある!」「女性はズボンも履く!」などの意見があって、現在のように青と赤の表示で区別されるようになったそうです。 知らなかった… また、東京オリンピックで導入された当時は新しいマークに抵抗感を抱いた日本人も多く、人々にすんなりと受け入れられたわけではありませんでした。そのため、マークの下に「お手洗」「化粧室」「厠(かわや)」などの日本語も併記されることが多かったようです。 See full list on oceans.tokyo.jp Mar 12, 2019 · 大会組織委員会は3月12日、オリンピック競技のピクトグラム(絵文字)を発表しました。 33競技50種目が一目で分かるように描かれています。 Mar 12, 2019 · 2019年3月12日 14:28. Mar 12, 2019 · 東京2020オリンピックスポーツピクトグラムのコンセプト. ——今回のピクトグラムの特徴を教えてください。 前回の東京大会がスポーツピクトグラムの原点だとすれば、一周して戻ってきた印象で、当初は「戻ってきたということは、前回と同じものを作るべきではない。2020年独自のものを」という気持ちがありました。 しかし、途中から徐々に「一周して戻ってきたのなら、我々は原点回帰、スポーツピクトグラムの新しいスタンダードをつくるべきではないか」と感じてきて、「どこにもない、違うもの」というよりも、いろいろとそぎ落とした「ど真ん中」というか、多くの人がテレビなどで見ている各競技のイメージと重なるピクトグラムを、という気持ちが強くなってきたんです。それで、意識としては先人が作り上げた前回の東京大会のピクトグラムの精度や完成度を上げる、という方向性になりました。 ——競技がイメージしやすい「ど真ん中」のデザインは、ピクトグラムの本来の役割ですよね。 人はどこかで見たことがあるものに親和性を高く感じます。それは悪いことではなく、人の記憶に残っているものを引き出しているとも言える。それができれば成功かな、と。「普通ですね」と言われるかもしれませんが、それはそれで本望ですよ。 ——「前回と東京大会から精度や完成度を上げた」のは、どういった点でしょうか。 前回の東京大会のピクトグラムは、少ない時間で複数のデザイナーが作成したということもあり、同じように見えて、実は個々が異なっています。よって、全体の統一感がより行き届いているデザインを目指しました。もうひとつは肉体の美しさ。オリンピックはアスリートが人間とは思えない動きによって我々に感動を与えてくれます。よりそれを形にしたかった。 前回のピクトグラムは、陸上などは競技中の選手をデザインしている一方、柔道は立ってポーズを決めている姿だったり、ヨットは選手が存在せずヨットのみのデザイン。それぞれのピクトグラムは優れていますが、先ほど申し上げたように、選手の肉体の美しさ、動きも積極的に表現したかったので、今回はすべて選手が競技を行っているピクトグラムで統一しました。 ——より肉体、動きが強調される方向で統一を図られたんですね。 例えば陸上競技も、直線と円弧だけでデザインするのは前回と同様でも、もっと躍動感やリアリティを出すことを追求しました。角度を変えてみたり、上腕を太くしてみたり……それとボディ。. See full list on oceans.tokyo.jp ——それも「そぎ落とし」の一種かもしれませんね。 一方でいったん完成したデザインは各競技団体の方にリアルな動きや角度などのアドバイスをもらって何度も調整を重ねました。例えば基本的にどのピクトグラムも抽象性を高くするために、手足の先は円弧にしているのですが、それでは表せない競技性、肉体や動きの美しさも出てきて。空手や柔道など、結果的につま先や手の先を加えた競技もあります。 ——そのほうが競技的により美しい形、ということですね。 驚いたのが馬術で、ピクトグラムの馬の顔面と脚が垂直になっていますが、この形が高い評価点になるそうなんです。馬の顔面は本当は垂直ではないほうが馬らしく見えるのですが、それだと評価点が低い形のピクトグラムになってしまう。 ——なるほど。その意味では関係者が見ても、競技を正しく表現している、「わかっている」ピクトグラムになっているんですね。 そう。だから、今回のピクトグラムは、なるべく大きく使ってもらえるとうれしい。競技ひとつひとつの動きの細部までこだわって、0.1mm単位で線を加えるかどうか考えましたから。大きく使っても粗が出ないように作っていますし、大きいほうが各競技の動きがよくわかると思いますよ。 ——では最後に、スポーツにおいてデザインが果たせる役割について、考えを教えていただけますか? 現代においてデザインというジャンルの領域はどんどん広がっています。「経営デザイン」なんて言葉もありますよね。デザインって何と「接着」してもいいんです。デザインの力によって対象物のことが理解できる、より素直に入り込める、より心地良く楽しめる、より機能的になる、あるいは未来を感じることもできるかもしれない。それはスポーツも同じだと思います。 ピクトグラムなら機能的に言語がなくてもスポーツ、競技を伝えることができ、どういうものか知るきっかけになる。人の動きって面白いね、と改めて感じてもらえたらうれしいですね。 田澤健一郎=取材・文 See full list on oceans.tokyo.jp
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Mar 12, 2019 · 大会組織委員会は3月12日、オリンピック競技のピクトグラム(絵文字)を発表しました。 33競技50種目が一目で分かるように描かれています。 See full list on oceans.tokyo.jp 意識せずともこのマークがあったらここがトイレだとすぐに判断できますよね。 もし、私が外国で急に腹痛に襲われたとき、トイレにこのマークがなくてヒンディー語で「शौचालय」と書かれているだけだったら、きっとトイレだと気付かず通り過ぎて今ごろは…。 考えるだけで恐ろしい…。日本発祥のトイレマークの偉大さがわかります…。 そんなトイレマークについて面白い話が残っています。トイレマークが導入された当初、表示は白黒でした。しかし、「男性もスカートを履く国がある!」「女性はズボンも履く!」などの意見があって、現在のように青と赤の表示で区別されるようになったそうです。 知らなかった… また、東京オリンピックで導入された当時は新しいマークに抵抗感を抱いた日本人も多く、人々にすんなりと受け入れられたわけではありませんでした。そのため、マークの下に「お手洗」「化粧室」「厠(かわや)」などの日本語も併記されることが多かったようです。 Jul 31, 2019 · オリンピックエンブレムと同じく、ブーメラン風のシルエットで手足を描いたスポーツピクトグラム。 Mar 12, 2019 · 2019年3月12日 14:28. Jul 31, 2019 · オリンピックの競技をイラストで表現したスポーツピクトグラムは、1964年の東京オリンピックではじめて導入されました。. ——それも「そぎ落とし」の一種かもしれませんね。 一方でいったん完成したデザインは各競技団体の方にリアルな動きや角度などのアドバイスをもらって何度も調整を重ねました。例えば基本的にどのピクトグラムも抽象性を高くするために、手足の先は円弧にしているのですが、それでは表せない競技性、肉体や動きの美しさも出てきて。空手や柔道など、結果的につま先や手の先を加えた競技もあります。 ——そのほうが競技的により美しい形、ということですね。 驚いたのが馬術で、ピクトグラムの馬の顔面と脚が垂直になっていますが、この形が高い評価点になるそうなんです。馬の顔面は本当は垂直ではないほうが馬らしく見えるのですが、それだと評価点が低い形のピクトグラムになってしまう。 ——なるほど。その意味では関係者が見ても、競技を正しく表現している、「わかっている」ピクトグラムになっているんですね。 そう。だから、今回のピクトグラムは、なるべく大きく使ってもらえるとうれしい。競技ひとつひとつの動きの細部までこだわって、0.1mm単位で線を加えるかどうか考えましたから。大きく使っても粗が出ないように作っていますし、大きいほうが各競技の動きがよくわかると思いますよ。 ——では最後に、スポーツにおいてデザインが果たせる役割について、考えを教えていただけますか? 現代においてデザインというジャンルの領域はどんどん広がっています。「経営デザイン」なんて言葉もありますよね。デザインって何と「接着」してもいいんです。デザインの力によって対象物のことが理解できる、より素直に入り込める、より心地良く楽しめる、より機能的になる、あるいは未来を感じることもできるかもしれない。それはスポーツも同じだと思います。 ピクトグラムなら機能的に言語がなくてもスポーツ、競技を伝えることができ、どういうものか知るきっかけになる。人の動きって面白いね、と改めて感じてもらえたらうれしいですね。 田澤健一郎=取材・文 そんなピクトグラムが生み出されたのは1964年の東京オリンピック。 当時日本は戦後の復興が進み、高度経済成長の真っただ中。 世界中のトップアスリートが一堂に集うオリンピックは戦後の新しい日本を世界にアピールする大きなチャンスになるぞ!とお偉いさんたちは気合が入っておりました。 しかし、文化の違う外国の人たちをどうやって「おもてなし」するか、お偉いさんたちを悩ませました。 何かいい方法がないか… そして…言語に関係なく誰でも理解できるピクトグラムが生み出されたのでした。
Mar 12, 2019 · 2019年3月12日 14:28.
See full list on oceans.tokyo.jp Jul 31, 2019 · オリンピックの競技をイラストで表現したスポーツピクトグラムは、1964年の東京オリンピックではじめて導入されました。. Jul 31, 2019 · オリンピックエンブレムと同じく、ブーメラン風のシルエットで手足を描いたスポーツピクトグラム。 Mar 12, 2019 · 大会組織委員会は3月12日、オリンピック競技のピクトグラム(絵文字)を発表しました。 33競技50種目が一目で分かるように描かれています。 ——今回のピクトグラムの特徴を教えてください。 前回の東京大会がスポーツピクトグラムの原点だとすれば、一周して戻ってきた印象で、当初は「戻ってきたということは、前回と同じものを作るべきではない。2020年独自のものを」という気持ちがありました。 しかし、途中から徐々に「一周して戻ってきたのなら、我々は原点回帰、スポーツピクトグラムの新しいスタンダードをつくるべきではないか」と感じてきて、「どこにもない、違うもの」というよりも、いろいろとそぎ落とした「ど真ん中」というか、多くの人がテレビなどで見ている各競技のイメージと重なるピクトグラムを、という気持ちが強くなってきたんです。それで、意識としては先人が作り上げた前回の東京大会のピクトグラムの精度や完成度を上げる、という方向性になりました。 ——競技がイメージしやすい「ど真ん中」のデザインは、ピクトグラムの本来の役割ですよね。 人はどこかで見たことがあるものに親和性を高く感じます。それは悪いことではなく、人の記憶に残っているものを引き出しているとも言える。それができれば成功かな、と。「普通ですね」と言われるかもしれませんが、それはそれで本望ですよ。 ——「前回と東京大会から精度や完成度を上げた」のは、どういった点でしょうか。 前回の東京大会のピクトグラムは、少ない時間で複数のデザイナーが作成したということもあり、同じように見えて、実は個々が異なっています。よって、全体の統一感がより行き届いているデザインを目指しました。もうひとつは肉体の美しさ。オリンピックはアスリートが人間とは思えない動きによって我々に感動を与えてくれます。よりそれを形にしたかった。 前回のピクトグラムは、陸上などは競技中の選手をデザインしている一方、柔道は立ってポーズを決めている姿だったり、ヨットは選手が存在せずヨットのみのデザイン。それぞれのピクトグラムは優れていますが、先ほど申し上げたように、選手の肉体の美しさ、動きも積極的に表現したかったので、今回はすべて選手が競技を行っているピクトグラムで統一しました。 ——より肉体、動きが強調される方向で統一を図られたんですね。 例えば陸上競技も、直線と円弧だけでデザインするのは前回と同様でも、もっと躍動感やリアリティを出すことを追求しました。角度を変えてみたり、上腕を太くしてみたり……それとボディ。. ——それも「そぎ落とし」の一種かもしれませんね。 一方でいったん完成したデザインは各競技団体の方にリアルな動きや角度などのアドバイスをもらって何度も調整を重ねました。例えば基本的にどのピクトグラムも抽象性を高くするために、手足の先は円弧にしているのですが、それでは表せない競技性、肉体や動きの美しさも出てきて。空手や柔道など、結果的につま先や手の先を加えた競技もあります。 ——そのほうが競技的により美しい形、ということですね。 驚いたのが馬術で、ピクトグラムの馬の顔面と脚が垂直になっていますが、この形が高い評価点になるそうなんです。馬の顔面は本当は垂直ではないほうが馬らしく見えるのですが、それだと評価点が低い形のピクトグラムになってしまう。 ——なるほど。その意味では関係者が見ても、競技を正しく表現している、「わかっている」ピクトグラムになっているんですね。 そう。だから、今回のピクトグラムは、なるべく大きく使ってもらえるとうれしい。競技ひとつひとつの動きの細部までこだわって、0.1mm単位で線を加えるかどうか考えましたから。大きく使っても粗が出ないように作っていますし、大きいほうが各競技の動きがよくわかると思いますよ。 ——では最後に、スポーツにおいてデザインが果たせる役割について、考えを教えていただけますか? 現代においてデザインというジャンルの領域はどんどん広がっています。「経営デザイン」なんて言葉もありますよね。デザインって何と「接着」してもいいんです。デザインの力によって対象物のことが理解できる、より素直に入り込める、より心地良く楽しめる、より機能的になる、あるいは未来を感じることもできるかもしれない。それはスポーツも同じだと思います。 ピクトグラムなら機能的に言語がなくてもスポーツ、競技を伝えることができ、どういうものか知るきっかけになる。人の動きって面白いね、と改めて感じてもらえたらうれしいですね。 田澤健一郎=取材・文 See full list on oceans.tokyo.jp 意識せずともこのマークがあったらここがトイレだとすぐに判断できますよね。 もし、私が外国で急に腹痛に襲われたとき、トイレにこのマークがなくてヒンディー語で「शौचालय」と書かれているだけだったら、きっとトイレだと気付かず通り過ぎて今ごろは…。 考えるだけで恐ろしい…。日本発祥のトイレマークの偉大さがわかります…。 そんなトイレマークについて面白い話が残っています。トイレマークが導入された当初、表示は白黒でした。しかし、「男性もスカートを履く国がある!」「女性はズボンも履く!」などの意見があって、現在のように青と赤の表示で区別されるようになったそうです。 知らなかった… また、東京オリンピックで導入された当時は新しいマークに抵抗感を抱いた日本人も多く、人々にすんなりと受け入れられたわけではありませんでした。そのため、マークの下に「お手洗」「化粧室」「厠(かわや)」などの日本語も併記されることが多かったようです。 Mar 12, 2019 · 東京2020オリンピックスポーツピクトグラムのコンセプト. Mar 12, 2019 · 2019年3月12日 14:28. See full list on oceans.tokyo.jp そんなピクトグラムが生み出されたのは1964年の東京オリンピック。 当時日本は戦後の復興が進み、高度経済成長の真っただ中。 世界中のトップアスリートが一堂に集うオリンピックは戦後の新しい日本を世界にアピールする大きなチャンスになるぞ!とお偉いさんたちは気合が入っておりました。 しかし、文化の違う外国の人たちをどうやって「おもてなし」するか、お偉いさんたちを悩ませました。 何かいい方法がないか… そして…言語に関係なく誰でも理解できるピクトグラムが生み出されたのでした。
そんなピクトグラムが生み出されたのは1964年の東京オリンピック。 当時日本は戦後の復興が進み、高度経済成長の真っただ中。 世界中のトップアスリートが一堂に集うオリンピックは戦後の新しい日本を世界にアピールする大きなチャンスになるぞ!とお偉いさんたちは気合が入っておりました。 しかし、文化の違う外国の人たちをどうやって「おもてなし」するか、お偉いさんたちを悩ませました。 何かいい方法がないか… そして…言語に関係なく誰でも理解できるピクトグラムが生み出されたのでした。 Jul 31, 2019 · オリンピックの競技をイラストで表現したスポーツピクトグラムは、1964年の東京オリンピックではじめて導入されました。. Mar 12, 2019 · 東京2020オリンピックスポーツピクトグラムのコンセプト. See full list on oceans.tokyo.jp Jul 31, 2019 · オリンピックエンブレムと同じく、ブーメラン風のシルエットで手足を描いたスポーツピクトグラム。 See full list on oceans.tokyo.jp ——今回のピクトグラムの特徴を教えてください。 前回の東京大会がスポーツピクトグラムの原点だとすれば、一周して戻ってきた印象で、当初は「戻ってきたということは、前回と同じものを作るべきではない。2020年独自のものを」という気持ちがありました。 しかし、途中から徐々に「一周して戻ってきたのなら、我々は原点回帰、スポーツピクトグラムの新しいスタンダードをつくるべきではないか」と感じてきて、「どこにもない、違うもの」というよりも、いろいろとそぎ落とした「ど真ん中」というか、多くの人がテレビなどで見ている各競技のイメージと重なるピクトグラムを、という気持ちが強くなってきたんです。それで、意識としては先人が作り上げた前回の東京大会のピクトグラムの精度や完成度を上げる、という方向性になりました。 ——競技がイメージしやすい「ど真ん中」のデザインは、ピクトグラムの本来の役割ですよね。 人はどこかで見たことがあるものに親和性を高く感じます。それは悪いことではなく、人の記憶に残っているものを引き出しているとも言える。それができれば成功かな、と。「普通ですね」と言われるかもしれませんが、それはそれで本望ですよ。 ——「前回と東京大会から精度や完成度を上げた」のは、どういった点でしょうか。 前回の東京大会のピクトグラムは、少ない時間で複数のデザイナーが作成したということもあり、同じように見えて、実は個々が異なっています。よって、全体の統一感がより行き届いているデザインを目指しました。もうひとつは肉体の美しさ。オリンピックはアスリートが人間とは思えない動きによって我々に感動を与えてくれます。よりそれを形にしたかった。 前回のピクトグラムは、陸上などは競技中の選手をデザインしている一方、柔道は立ってポーズを決めている姿だったり、ヨットは選手が存在せずヨットのみのデザイン。それぞれのピクトグラムは優れていますが、先ほど申し上げたように、選手の肉体の美しさ、動きも積極的に表現したかったので、今回はすべて選手が競技を行っているピクトグラムで統一しました。 ——より肉体、動きが強調される方向で統一を図られたんですね。 例えば陸上競技も、直線と円弧だけでデザインするのは前回と同様でも、もっと躍動感やリアリティを出すことを追求しました。角度を変えてみたり、上腕を太くしてみたり……それとボディ。. Mar 12, 2019 · 大会組織委員会は3月12日、オリンピック競技のピクトグラム(絵文字)を発表しました。 33競技50種目が一目で分かるように描かれています。
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そんなピクトグラムが生み出されたのは1964年の東京オリンピック。 当時日本は戦後の復興が進み、高度経済成長の真っただ中。 世界中のトップアスリートが一堂に集うオリンピックは戦後の新しい日本を世界にアピールする大きなチャンスになるぞ!とお偉いさんたちは気合が入っておりました。 しかし、文化の違う外国の人たちをどうやって「おもてなし」するか、お偉いさんたちを悩ませました。 何かいい方法がないか… そして…言語に関係なく誰でも理解できるピクトグラムが生み出されたのでした。 意識せずともこのマークがあったらここがトイレだとすぐに判断できますよね。 もし、私が外国で急に腹痛に襲われたとき、トイレにこのマークがなくてヒンディー語で「शौचालय」と書かれているだけだったら、きっとトイレだと気付かず通り過ぎて今ごろは…。 考えるだけで恐ろしい…。日本発祥のトイレマークの偉大さがわかります…。 そんなトイレマークについて面白い話が残っています。トイレマークが導入された当初、表示は白黒でした。しかし、「男性もスカートを履く国がある!」「女性はズボンも履く!」などの意見があって、現在のように青と赤の表示で区別されるようになったそうです。 知らなかった… また、東京オリンピックで導入された当時は新しいマークに抵抗感を抱いた日本人も多く、人々にすんなりと受け入れられたわけではありませんでした。そのため、マークの下に「お手洗」「化粧室」「厠(かわや)」などの日本語も併記されることが多かったようです。 ——それも「そぎ落とし」の一種かもしれませんね。 一方でいったん完成したデザインは各競技団体の方にリアルな動きや角度などのアドバイスをもらって何度も調整を重ねました。例えば基本的にどのピクトグラムも抽象性を高くするために、手足の先は円弧にしているのですが、それでは表せない競技性、肉体や動きの美しさも出てきて。空手や柔道など、結果的につま先や手の先を加えた競技もあります。 ——そのほうが競技的により美しい形、ということですね。 驚いたのが馬術で、ピクトグラムの馬の顔面と脚が垂直になっていますが、この形が高い評価点になるそうなんです。馬の顔面は本当は垂直ではないほうが馬らしく見えるのですが、それだと評価点が低い形のピクトグラムになってしまう。 ——なるほど。その意味では関係者が見ても、競技を正しく表現している、「わかっている」ピクトグラムになっているんですね。 そう。だから、今回のピクトグラムは、なるべく大きく使ってもらえるとうれしい。競技ひとつひとつの動きの細部までこだわって、0.1mm単位で線を加えるかどうか考えましたから。大きく使っても粗が出ないように作っていますし、大きいほうが各競技の動きがよくわかると思いますよ。 ——では最後に、スポーツにおいてデザインが果たせる役割について、考えを教えていただけますか? 現代においてデザインというジャンルの領域はどんどん広がっています。「経営デザイン」なんて言葉もありますよね。デザインって何と「接着」してもいいんです。デザインの力によって対象物のことが理解できる、より素直に入り込める、より心地良く楽しめる、より機能的になる、あるいは未来を感じることもできるかもしれない。それはスポーツも同じだと思います。 ピクトグラムなら機能的に言語がなくてもスポーツ、競技を伝えることができ、どういうものか知るきっかけになる。人の動きって面白いね、と改めて感じてもらえたらうれしいですね。 田澤健一郎=取材・文 See full list on oceans.tokyo.jp Jul 31, 2019 · オリンピックの競技をイラストで表現したスポーツピクトグラムは、1964年の東京オリンピックではじめて導入されました。. Mar 12, 2019 · 2019年3月12日 14:28. See full list on oceans.tokyo.jp See full list on oceans.tokyo.jp ——今回のピクトグラムの特徴を教えてください。 前回の東京大会がスポーツピクトグラムの原点だとすれば、一周して戻ってきた印象で、当初は「戻ってきたということは、前回と同じものを作るべきではない。2020年独自のものを」という気持ちがありました。 しかし、途中から徐々に「一周して戻ってきたのなら、我々は原点回帰、スポーツピクトグラムの新しいスタンダードをつくるべきではないか」と感じてきて、「どこにもない、違うもの」というよりも、いろいろとそぎ落とした「ど真ん中」というか、多くの人がテレビなどで見ている各競技のイメージと重なるピクトグラムを、という気持ちが強くなってきたんです。それで、意識としては先人が作り上げた前回の東京大会のピクトグラムの精度や完成度を上げる、という方向性になりました。 ——競技がイメージしやすい「ど真ん中」のデザインは、ピクトグラムの本来の役割ですよね。 人はどこかで見たことがあるものに親和性を高く感じます。それは悪いことではなく、人の記憶に残っているものを引き出しているとも言える。それができれば成功かな、と。「普通ですね」と言われるかもしれませんが、それはそれで本望ですよ。 ——「前回と東京大会から精度や完成度を上げた」のは、どういった点でしょうか。 前回の東京大会のピクトグラムは、少ない時間で複数のデザイナーが作成したということもあり、同じように見えて、実は個々が異なっています。よって、全体の統一感がより行き届いているデザインを目指しました。もうひとつは肉体の美しさ。オリンピックはアスリートが人間とは思えない動きによって我々に感動を与えてくれます。よりそれを形にしたかった。 前回のピクトグラムは、陸上などは競技中の選手をデザインしている一方、柔道は立ってポーズを決めている姿だったり、ヨットは選手が存在せずヨットのみのデザイン。それぞれのピクトグラムは優れていますが、先ほど申し上げたように、選手の肉体の美しさ、動きも積極的に表現したかったので、今回はすべて選手が競技を行っているピクトグラムで統一しました。 ——より肉体、動きが強調される方向で統一を図られたんですね。 例えば陸上競技も、直線と円弧だけでデザインするのは前回と同様でも、もっと躍動感やリアリティを出すことを追求しました。角度を変えてみたり、上腕を太くしてみたり……それとボディ。. Jul 31, 2019 · オリンピックエンブレムと同じく、ブーメラン風のシルエットで手足を描いたスポーツピクトグラム。 Mar 12, 2019 · 大会組織委員会は3月12日、オリンピック競技のピクトグラム(絵文字)を発表しました。 33競技50種目が一目で分かるように描かれています。 Mar 12, 2019 · 東京2020オリンピックスポーツピクトグラムのコンセプト.